こんにちは、スポーツトレンドライターの中村夏帆です。
ロサンゼルス・ドジャースの山本由伸投手が、今シーズン(※2025年と仮定)見せるピッチングには、本当に驚かされますよね。
特に注目すべきは、その驚異的な防御率です。 4月18日のレンジャーズ戦を終えた時点で、なんと0.93という数字を記録。これはナ・リーグでもトップの成績で、まさに”異次元”と言えるでしょう。
直近の登板を見ても、レンジャーズ戦で7回無失点10奪三振、その前のカブス戦、フィリーズ戦でも6回無失点と、強打者揃いのメジャーリーグで圧巻の投球を続けています。
この活躍ぶりには、多くのファンが胸を熱くしているのではないでしょうか。
シーズン序盤/昨年の姿:ファンが感じていた「壁」とは?
さて、今でこそ「無双」状態の山本投手ですが、シーズンが始まった当初、特にMLBデビューとなったパドレス戦(3月22日)では4回で3失点を喫するなど、「メジャーの壁」を感じさせる場面もありましたよね。
防御率も、3月28日のタイガース戦終了時点では2.25と、現在の数字と比べるとやや高い水準でした。
もちろん、これは新しい環境への適応期間と考えれば当然のことかもしれません。
しかし、あの日本での圧倒的な成績を知っているだけに、「山本投手ほどの投手でも、MLBでは苦労するのか…?」と、少し心配になったファンの方もいらっしゃったのではないでしょうか。
だからこそ、今のこの活躍ぶりが、より一層輝いて見えるのかもしれませんね。
名将ボウチーも脱глоб「打てない」と言わしめた山本由伸の”凄み”
山本投手の凄さは、対戦した相手、特に経験豊富な監督の言葉からも伝わってきます。
4月18日の試合後、敵将であるレンジャーズの名将ボウチー監督は、山本投手について最大級の賛辞を送っています。
「彼は本当に良いものを持っている。球速もあるし、コントロールも良い。良いスプリットも持っている」と、まず基本的な能力の高さを認め、さらに「彼には良いカーブとスライダーもある」と、多彩な球種にも言及しました。
そして、「我々が、今日の彼を(マウンドから)引きずり下ろすのは相当に難しかった」「彼は本当にタフだったよ」「ただただ彼から打てなかったね」と、その攻略の難しさを正直に語っています。
4度のワールドシリーズ制覇を経験し、数々の一流投手と対峙してきた名将にここまで言わせるのですから、山本投手の今のピッチングがいかに凄いかが分かります。
ボウチー監督が具体的に評価したポイント
ボウチー監督のコメントで特に注目したいのは、「ストライク先行の投球を成し遂げた」という部分です。
これは、山本投手が自信を持ってストライクゾーンで勝負できている証拠であり、抜群のコントロールがあってこそ成せる技と言えるでしょう。
◆◆山本投手の武器は、球速、優れた制球力、そして高品質なスプリット、カーブ、スライダーといった多彩な変化球にあります。これらを駆使し、ストライク先行で打者を圧倒する”タフさ”が、名将ボウチー監督をも唸らせました。◆◆
このように、球速、コントロール、多彩な球種、そして常に有利なカウントで勝負できる投球術。これらが組み合わさることで、打者にとっては攻略が極めて難しい「タフ」な投手となっているわけですね。
【徹底分析】山本由伸は”ここ”が進化した!覚醒の理由3選
では、シーズン序盤から現在にかけて、山本投手は具体的にどのように進化し、この”覚醒”とも言える状態に至ったのでしょうか? ここでは、3つの視点からその理由を分析していきたいと思います。
① MLBの洗礼を乗り越えた?ストライクゾーンへの適応
まず考えられるのが、MLBの環境、特にストライクゾーンへの適応です。
一般的に、NPBとMLBではストライクゾーンの広さや判定基準が異なると言われますよね。 シーズン序盤は、際どいコースがボールと判定される場面もあったかもしれません。
★★メジャーリーグへの移籍当初は、どんな名投手であっても環境への適応や、NPBとは異なるストライクゾーンへの対応に時間を要することがあります。山本投手も例外ではなかったのかもしれません。★★
しかし、現在の山本投手は、データで見てもフォーシームとカーブでストライク率が50%を超えており、しっかりとゾーン内で勝負できています。特にカーブは、被打率が低く、安定してストライクを取れる球種となっているようです。
これは、彼が持ち前の精密なコントロールをMLBの舞台でも発揮できるようになった、大きな進化の証と言えるでしょう。
② 魔球の精度向上?スプリットとカーブの変化
次に注目したいのが、彼の代名詞とも言える変化球、特にスプリットとカーブの質のさらなる向上です。
MLB公認の投球アナリスト、「ピッチングニンジャ」として知られるロブ・フリードマン氏は、「4シームは球速がアップしていた」「あの高速スプリットも去年よりシャープだった」「カーブも打てない」と絶賛しています。
特にスプリットは、レンジャーズ戦で14スイング中10個の空振りを奪い、空振り率71%という驚異的な数字を記録したとのこと。カブスのカウンセル監督も「本当にすごかった」「打てるボールが来なかった」と脱帽していました。
さらに、山本投手のスプリットは、1分間に500回転という通常では考えられないトップスピンがかかっており、これが独特の鋭い変化を生み出している、という分析もあります。
◎◎対戦相手や専門家が口を揃えて「打てない」と語るスプリットとカーブ。その”魔球”としての威力が、MLBの舞台でさらに磨かれているようです。◎◎
元々一級品だった変化球が、メジャーの強打者をも手玉に取るレベルにまで昇華されている。これも大きな進化のポイントですね。
③ データと経験が生む投球術・配球戦略の進化
そして3つ目は、投球術や配球戦略の進化です。
山本投手は、元々フォーシーム、スプリット、カーブを軸とした投球スタイルでしたが、シーズン途中からスライダーとシンカーを導入し、投球の幅を広げています。
これは、右打者の内角を攻める選択肢を増やしたり、スプリットの調子が悪い日でも他の決め球を用意したりするためでしょう。 メジャーの打者の特徴やデータを分析し、それに対応しようというクレバーさがうかがえます。
山本投手自身も「色んな球種を使う自分のスタイルができてきている。どんどん自分の力を発揮できている」と手応えを語っています。
また、ドジャースのプライアー投手コーチは、山本投手の独特のフォームが「打者のタイミングをずらし、持ち球の威力を最大限に発揮できる」と評価しており、本人が確立したスタイルを尊重しています。
このように、持ち前の能力に加えて、状況に応じた戦略性と引き出しの多さを身につけたことが、今の安定感につながっているのではないでしょうか。
まとめ:”日本の至宝”から”世界のYAMAMOTO”へ。進化は止まらない
ここまで、山本由伸投手がなぜシーズン序盤とは”別人”のような圧巻の投球を見せているのか、その理由を探ってきました。
まとめると、
- MLBのストライクゾーンへの適応と、持ち前の制球力の完全発揮。
- スプリットやカーブといった”魔球”のさらなる質の向上。
- データと経験に基づいた、戦略的な投球術・配球の進化。
これらが組み合わさることで、あの名将ボウチー監督をも「打てない」と言わしめる、現在の支配的なピッチングが形作られていると言えそうです。
ドジャースのロバーツ監督も「次元の違う投球をしていた」「(今シーズン)最高の登板だった」と、レンジャーズ戦での投球を絶賛していました。
まさに、”日本の至宝”が、名実ともに”世界のYAMAMOTO”へと進化を遂げている瞬間を、私たちは目の当たりにしているのかもしれません。
ピッチングニンジャ氏が「サイ・ヤング賞を狙える」と語るように、今後のさらなる活躍、そして大きなタイトル獲得への期待は高まるばかりです。
これからも山本投手の投球から目が離せませんね!