スポーツファンの皆さん、こんにちは! Webライターの中村夏帆です。普段は海外サッカーの日本人選手の戦術分析などを中心にお届けしていますが、今日はちょっと違うテーマで、皆さんと一緒に考えてみたい話題があるんです。
先日、メジャーリーグの歴史に大きな動きがありましたね。そう、故ピート・ローズ氏の永久追放が解除されたというニュースです。この一報に、様々な思いを巡らせた方も多いのではないでしょうか?特に、我らが日本の誇るレジェンド、イチロー選手との過去の出来事を思い出した方もいらっしゃるかもしれません。
ピート・ローズ氏の永久追放解除、でもイチローファンが忘れない「あの言葉」

2025年5月13日、MLBは故ピート・ローズ氏の永久追放処分を解除し、殿堂入りの資格を回復させると発表しました。ローズ氏といえば、メジャーリーグ歴代最多の4256安打という、とてつもない記録を持つ伝説的な選手です。しかし、その輝かしいキャリアの一方で、野球賭博に関与したとして1989年に球界から永久追放されていました。
今回の決定は、ローズ氏の死後ではありますが、長年の支持者や家族にとっては大きな意味を持つものかもしれませんね。
ただ…このニュースを聞いて、多くの日本の野球ファン、特にイチロー選手のファンの方々は、胸の中にちょっと複雑な感情がよみがえってきたのではないでしょうか?そう、かつてイチロー選手が日米通算安打でローズ氏の記録に迫り、そして超えた時の、あのローズ氏の一連の発言です。
物議を醸したピート・ローズ氏のイチロー選手への過去の発言とは?
一体どんな発言があったのか、記憶が少し曖昧になっている方もいらっしゃるかもしれませんし、若い世代のファンの方はご存じないかもしれません。ここで少し、当時のことを振り返ってみましょう。
「リトルリーグの記録」発言の衝撃とその背景
あれは2016年6月15日(日本時間16日)のことでした。当時マイアミ・マーリンズに所属していたイチロー選手が、サンディエゴ・パドレス戦で2安打を放ち、日米通算安打を4257本としました。これは、ローズ氏が持つメジャーリーグ最多安打記録4256本を上回るものでした。
この歴史的な快挙に対して、当のピート・ローズ氏は、手放しで称賛する…というわけではなかったんですね。
「日本では私を“ヒット・クイーン”(2番)にしようとしている。次は高校時代の記録まで数えるのか」といったコメントや、「彼の日本でのヒット数を合わせるなら、私のマイナーリーグでのヒット数も加えるべきだ」といった主旨の発言が報じられました。
これらの言葉は、日米の野球の違いがあるとはいえ、イチロー選手の偉大な記録に水を差すかのような印象を与え、多くの日本人ファンに衝撃と、そして少しばかりの怒りや失望を抱かせたのではないでしょうか。
日米通算安打記録を巡る当時の論争
もちろん、メジャーリーグの記録と日本のプロ野球の記録を単純に合算することについては、様々な意見があることは理解できます。
当時、日本の球界からは、球界のご意見番でもある張本勲さんが「日本球界は鼻高々。こんな選手は向こう100年出てこないでしょう」と大絶賛したり、安倍晋三首相(当時)も「日本人として本当に誇りに思う」とコメントするなど、称賛の声が多く上がりました。
一方で、ローズ氏のこれらの発言は、記録の価値を巡る論争に油を注ぐ形ともなりました。
そんな中、イチロー選手自身は非常に冷静だったのが印象的でしたよね。「ピート・ローズが喜んでくれてたら、(僕の気持ちは)全然違う。でも、そうじゃないって聞いてるので、だから僕も興味がない」とコメントし、周囲の喧騒に惑わされない孤高の姿を見せていました。
永久追放解除のニュース、SNSではイチローファンの複雑な声が噴出
そして時は流れ、2025年。今回のピート・ローズ氏の永久追放解除のニュースです。
◎◎SNS上では、このニュースを受けて、本当に様々な意見が飛び交っています。「ローズ氏の功績を考えれば当然」「野球界の歴史を正しく評価するため」といった肯定的な声もあれば、「生前に決断すべきだった」「賭博行為を容認するメッセージにならないか」といった否定的な意見、そしてやはり「イチロー選手との過去の確執を思い出すと素直に喜べない」「功績は認めるが、過去の発言や行動を考えると複雑な気持ち」といった、割り切れない感情を示す声も多く見られました。◎◎
まさに、ファンの皆さんの気持ちが揺れ動いているのが伝わってきます。
「記録は凄いが人として…」功績と人格を分ける難しさ
特に目立つのが、「選手としての記録は本当に凄いと思う。でも、人としてどうだったのか…」という声ですね。
これはスポーツ界では常につきまとう問題かもしれませんが、圧倒的な功績を残した選手だからといって、その人格や過去の過ちが全て許されるわけではない、というファンの複雑な思いが表れているように感じます。
「今さら許されても…」消えない過去への不信感
また、「なぜ生きているうちに判断しなかったのか」「亡くなったから許すというのは違うのでは?」といった、今回の決定のタイミングや理由に対する疑問の声も少なくありません。
特にイチロー選手への過去の発言を知っているファンにとっては、ローズ氏がその態度を改める機会がないままこの世を去り、その後に資格が回復されたことに対して、どこかスッキリしない気持ちが残るのかもしれません。
一方で「故人の判断は妥当」と理解を示す声も
もちろん、中には「もう亡くなっているのだから、過去の処分に縛られ続ける必要はない」「殿堂入りの資格を与えること自体は妥当」といった、冷静な意見も見られます。
様々な情報や考え方がある中で、それぞれのファンが自分なりの答えを見つけようとしている、そんな状況と言えるかもしれませんね。海外のメディアでも、The Guardianが「ローズ氏の殿堂入りの道が開かれた」と報じる一方で、ジョン・ダウド氏(1989年にローズ氏の調査を担当)が「死後に処分を解除することは、野球の誠実性を損なう」と批判的なコメントを寄せるなど、賛否両論あるようです。
なぜピート・ローズ氏はイチロー選手を素直に称賛できなかったのか?その心理を考察
ここで少し、皆さんと一緒に考えてみたいのですが、なぜピート・ローズ氏は、あれほどまでにイチロー選手の記録に対して、素直な称賛の言葉を贈れなかったのでしょうか?
自身の記録への絶対的なプライドと執着
一つには、やはり自身の記録に対する絶対的なプライドと執着があったのではないでしょうか。
ローズ氏は「記録を達成したとき、それは私が最多安打を記録した選手になるだけだ。私は最多打数、最多アウトも記録している。タイ・カッブより優れた選手だとは言っていない」といった言葉を残しているように、自分の名前が記録として残ることへの強い意識が感じられます。また、「野球をするためなら、ガソリンのスーツを着て地獄を歩くことも厭わない」という言葉からは、野球そのものへの凄まじい情熱と共に、そこで何かを成し遂げることへの執念のようなものも伝わってきますよね。
自分の金字塔とも言える記録が、異なるリーグの記録との比較で語られることへの抵抗感が強かったのかもしれません。
当時の日米野球界の立ち位置と認識の違い
また、当時の日米の野球界の立ち位置や、お互いのリーグに対する認識の違いも影響していた可能性はありますね。
1995年の野茂英雄選手のMLB挑戦、そして2001年のイチロー選手自身のMLBでの鮮烈なデビューと大活躍は、日本プロ野球(NPB)の実力がMLBでも通用することを証明し、MLB側のNPBに対する評価を大きく変えるきっかけとなりました。
しかし、ローズ氏の発言があった2016年頃は、NPB出身の選手がMLBで確固たる地位を築き始めていたとはいえ、まだどこかで「メジャーこそが至高」という意識が、特に往年の名選手の中には根強く残っていたのかもしれません。その過渡期ならではの認識のズレが、あのような発言に繋がったとも考えられそうです。
「チャーリー・ハッスル」としてのキャラクター性?
あるいは、彼のニックネーム「チャーリー・ハッスル」が示すような、常に闘争心をむき出しにするプレースタイルや、少々挑発的な言動も厭わないキャラクター性が、ああいった発言に繋がったという見方もできるかもしれません。
ただ、どんな理由があったにせよ、やはりイチロー選手や多くのファンにとっては、寂しい出来事でしたよね。
ピート・ローズ氏の功績と永久追放解除、ファンとして私たちはどう向き合うべきか
★★さて、今回の永久追放解除というニュース。そして、過去のイチロー選手への発言。これらを合わせて考えると、私たちファンは一体どういう気持ちでいればいいのでしょうか?「功績」と「人格や過去の過ち」を分けて考えるべきなのか、それとも…。なかなか難しい問題ですよね。★★
スポーツ選手の競技上の功績と私生活での問題行動をどのように評価するかは、本当に長年の議論です。バリー・ボンズ選手やロジャー・クレメンス選手のように、薬物使用疑惑で殿堂入りを逃しているスーパースターもいます。
偉大な記録への敬意と、許されない行為へのけじめ
まず大前提として、ピート・ローズ氏が残した4256安打というメジャーリーグ記録は、紛れもなく偉大なものです。その記録に対する敬意は、持ち続けて良いのではないでしょうか。
一方で、彼が犯した野球賭博という行為は、スポーツの根幹を揺るがすものであり、決して許されるものではありません。そのけじめは、永久追放という形である程度つけられていたとも言えます。
今回の資格回復が、その「けじめ」を曖昧にしてしまうのではないか、という懸念の声があるのも理解できます。
「もしイチローが同じ立場だったら?」と考える
もし、仮にですが、イチロー選手が何らかの過ちを犯し、そして時を経てその資格が回復されるような事態になったとしたら…。私たちファンはどんな気持ちになるでしょうか?
功績は功績として称えたい、でも過ちは過ちとして反省してほしい…そんな複雑な感情を抱くかもしれませんね。そう考えると、今回のローズ氏の件に対する様々なファンの感情も、少し理解しやすくなるかもしれません。
スポーツの歴史の一部として受け止め、未来への教訓に
今回の決定は、良くも悪くも、メジャーリーグの、そして野球の歴史の新たな1ページとして刻まれます。
私たちファンにできることは、この出来事を一つの歴史的事実として受け止め、なぜこのような議論が起こるのか、スポーツにおける「記録」とは、「フェアプレー」とは、「尊敬」とは何か、といったことを改めて考えるきっかけとすることなのかもしれません。そして、それが未来のスポーツ界にとって何らかの教訓となれば、と願うばかりです。
【まとめ】ピート・ローズとイチロー、交錯するレジェンドへの思いと今後の議論
◆◆ピート・ローズ氏のメジャーリーグ通算4256安打。イチロー選手の日米通算4257安打達成(2016年)。そして、ピート・ローズ氏の永久追放解除(2025年)。これらの事実は、これからも野球史の中で語り継がれていくでしょう。◆◆
今回は、ピート・ローズ氏の永久追放解除というニュースをきっかけに、過去のイチロー選手との間の出来事や、それに対するファンの皆さんの複雑な思いについて、一緒に考えてきました。
一人の選手が残した偉大な記録と、その裏にあった人間的な側面、そしてリーグや文化の違いから生じる摩擦。スポーツの世界は、ただ勝った負けた、記録が出た出ない、だけではない、本当に奥深いドラマがありますよね。
今回の件が、ピート・ローズ氏の殿堂入りに繋がるのかどうかは、まだ分かりません。ジェフリー・レンコフ氏(ローズ氏の弁護士)は「ローズ氏の家族にとって大きな意味を持つ決定であり、彼の功績が正当に評価されることを望む」とコメントしています。
しかし、たとえ殿堂入りしたとしても、あるいはしなかったとしても、彼の名前と記録、そしてイチロー選手との間にあった一連の出来事は、これからも多くの野球ファンの記憶に残り、様々な議論を呼び続けるのではないでしょうか。
スポーツが持つ光と影、その両面を見つめながら、これからも私たちはこの素晴らしい世界を楽しんでいきたいですね!