レアル・マドリードを率いるカルロ・アンチェロッティ監督は、長年にわたりトップレベルで成功を収めてきた名将の一人です。彼の戦術は、選手の個性を活かした柔軟性と、試合ごとの状況に応じた適応力が特徴です。特定のフォーメーションや戦術に固執せず、選手の能力を最大限に引き出す手腕は、多くの監督とは一線を画します。
本記事では、アンチェロッティ監督の基本戦術、2025年3月12日に行われたチャンピオンズリーグ・ラウンド16のレアル・マドリードvsアトレティコ・マドリード戦の戦い方、そして次戦に向けた戦術的ポイントについて徹底解説します。
試合の結果と注目ポイント
試合結果:
- レアル・マドリード 1-1(PK 4-2)アトレティコ・マドリード
得点経過:
- 前半1分:カラスコが左サイドを突破し、グラウンダーのクロスを供給。グリーズマンがワンタッチで流し込み、アトレティコが先制。
- 後半78分:ベリンガムが中央で巧みにボールをキープし、絶妙なスルーパスを送る。ヴィニシウスが相手DFをかわし、冷静にゴール右隅へシュート。
試合開始早々、アトレティコは素早い攻撃で主導権を握り、守備でもブロックを形成してレアルの攻撃を封じました。一方、レアルはボール保持を意識し、相手の守備を崩そうと試みましたが、決定機を作れない時間が続きました。
後半に入ると、レアルはサイド攻撃を強化。78分、ベリンガムが中央でボールをキープし、ヴィニシウスへのスルーパスを供給。ヴィニシウスがDFをかわして冷静に決め、試合を振り出しに戻しました。その後、延長戦でも決着はつかず、PK戦へ突入。リュディガーが最後のキックを成功させ、クルトワが2本のPKをセーブし、レアルが勝利を収めました。
試合後のファンの声
SNSでは、アンチェロッティの采配や、PK戦でのリュディガーとクルトワの活躍に称賛の声が集まりました。
アンチェロッティの戦術分析
アンチェロッティの戦術は、選手の特性を最大限に活かす柔軟性と適応力を持つのが特徴です。試合の状況や対戦相手に応じて、フォーメーションや戦い方を調整し、勝利を目指します。
ボール保持とリスク管理
アンチェロッティの基本的な哲学は、リスクを最小限に抑えながら試合を支配することです。ボール保持を重視し、無理な縦パスを避けながら相手を崩すことで、試合の主導権を握ります。また、相手のカウンターを防ぐため、適切なポジショニングと守備のブロックを形成。
選手の個性を尊重し、自由度のある攻撃を展開することで、各自の強みを最大限に発揮させる戦術を採用しています。
アトレティコ戦での戦い方
レアルはボール支配率63%を記録し、相手の守備ブロックを崩すためにショートパスを多用しました。特にモドリッチとクロースが中盤でボールを落ち着かせ、サイドバックのカマヴィンガを高い位置に押し上げる形が効果的でした。
アトレティコのカウンターを警戒し、ミリトンが高めのラインを維持しながら、相手FWの裏抜けを防ぐ役割を果たしました。また、ヴィニシウスの突破力を活かすため、クロースが下がり目のポジションを取り、左サイドで数的優位を作りながらボールを回し、ヴィニシウスに1対1の状況を与える工夫も見られました。こうした戦術が後半の同点ゴールにつながりました。
次戦の戦術ポイント
準々決勝では、対戦相手に応じた戦術変更が鍵を握ることになります。
- 攻撃的なチーム(例:マンチェスター・シティ)
- ポゼッションを重視し、中盤でのボールキープを強化。
- モドリッチとクロースを軸にパス回しを徹底する。
- 守備的なチーム(例:インテル)
- ヴィニシウスやロドリゴのスピードを活かし、カウンター戦術を徹底する。
- ベリンガムの動きが鍵になる。
まとめ & 監督コメント
アンチェロッティの戦術は、状況に応じた柔軟性と適応力が特徴的です。アトレティコ戦では、前半は慎重に試合を進め、後半に攻撃のギアを上げるという戦略が奏功し、ヴィニシウスの同点ゴールにつながりました。特に、クロースとモドリッチの中盤でのゲームコントロールと、カマヴィンガの攻撃参加が試合の流れを大きく変えました。PK戦では、経験豊富なクルトワとリュディガーが落ち着いたパフォーマンスを見せ、レアルが勝利を収めました。
試合後、アンチェロッティは「選手たちは最後まで冷静にプレーしてくれた。PK戦の準備はしっかりしていたし、クルトワの活躍が大きかった」とコメント。また、「アトレティコは守備の堅いチームなので、リスクを抑えつつ試合をコントロールすることを重視した。前半はボールを回しながら相手の出方を伺い、後半はサイド攻撃を増やし、ヴィニシウスとロドリゴの突破力を活かす形にシフトした」と戦術面を振り返りました。
準々決勝ではどのような戦術を採用するのか、今後の動向に注目が集まります。